ゲームマシンを奪うために探偵を装った男たち

強盗は重罪だということは皆承知していますが、大強盗についての映画を見ていると、自分もあんなすごい物を盗んでみたいという欲求にかられることもあるでしょう。

例えば、FBI捜査官ビーター・バークが監視する中でニール・キャフリーが犯行に及んだり、ロビン・フッドが金持ちから盗みを働いて貧しい人々に配ったり、という映画もありましたね。これらは私たちの中に潜む悪事への願望を呼び覚まし、スリルと興奮を求めて、ルールを破ってみたいという気をそそるものです。

2020年下旬、アメリカで二人の男たちが探偵を装ってガソリンスタンドからゲームマシンを奪い取りました。まさに映画を地でいく強盗事件で、騙された店員の眼の前でまんまと強盗が行われたわけです。二人の男たちはガソリンスタンドへ入り、偽の身分証とホルスターに入った銃を店員に見せました。それで店員はいとも簡単に彼らが探偵であると信じこんでしまったのです。

男たちは店員にゲームマシンの差し押さえ命令を見せました。それには公式のスタンプと偽の裁判官の署名がありました。差し押さえ命令の上部には大きな字で「テキサス州ゲーミング委員会差し押さえ命令」と書かれていました。しかし、そんな組織は存在すらしないのです!なんだって?と思いますよね。盗まれたり複写されたりできないものは無いのかと考えてしまいますよね。確かにあるかもしれませんが、この時にはまんまとうまくいってしまったのです。

男たちは非常に高額な2台のゲーミングマシンを奪ってガソリンスタンドを立ち去りました。さらに悪いことには、数週間分の売り上げを取り出していなかったため、マシンにはお金がいっぱい詰まったままだったのです。この二人連れは監視カメラに顔が映ってはいたものの、いまだに逃走中です。

この男たちのような犯罪のプロがいるとなると、職場でもオチオチしていられませんし、特にガソリンスタンドで働く人にとっては恐怖に違いありません。警察はよく、こうした事件は滅多に起こらないものだと我々に言いますが、日本では、昔以上にこうした犯罪が増えています。人々がマニアックな行動をすることができる場所、それはビデオゲームです。ビデオゲームの目的の一つは、現実の生活の中で許されないことを思いっきりさせることにあります。

一般の人々は大きな強盗事件に大騒ぎすることがよくありますが、そうした世の中の反応に よって、犯罪者たちはもっと悪事を重ねようという気になるのです。世の中にはお金が全てという人たちがいます。彼らは簡単にお金が手に入る方法を見つけようとしているかもしれません。簡単にお金を手に入れる唯一の方法がギャンブルですが、ギャンブルは簡単にお金を失う方法でもあるのです。また一方では、ものを盗むことに快感を覚える人たちもいます。悪事をやってのけた時に体を駆け巡るアドレナリン、さらにうまく逃げおおせた時に一段と体を駆け巡るアドレナリンがそうさせるのです。 

こうした欲求は日々の仕事や、気持ちを高揚させる何か(法を犯さないもの)に向けるようにしましょう。大強盗やコソ泥は、法律を破ってみたいという思いを満足させるゲームの世界の中だけにしておきましょう。