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珍事件手記 第14話 ヌレギヌ

ヌレギヌ珍事件

私は、電話で知合いの女性から相談を受けた。

「去年交際していた男性から、電話が頻繁に入るようになり、肉体関係を要求している。応じなければ、今の交際相手に、以前の関係をバラス.」との内容である。

相談者は、その男性と親密な交際をしていたが、非常に嫉妬深い性格が解ったので、交際を解消し、現在は勤務先の同僚と交際しているらしい。

私は、その女性に脅迫男からの電話内容は、すべて録音するように伝えたが、録音装置がないとの事で、私の自宅に招き、録音装置を女性に貸し出した。

暫く女性と話しをし、近くのレストランで食事を一緒に採ろうと自宅を出たとき、不審な車輛が1台停車しており、後部座席に男性2名が乗車していた。

この様な張込み方をするのは、同業の探偵であろうと直感できたが、何処を張込んでいるのかな?くらいしか考えていなかった。

私は、愛車を置いている駐車場にて女性を助手席に同乗させ、発進させた。

暫く直進し、ルームミラーで後部を見ると、先程の張込み車輛が尾行して来ている。

これ以上、女性に不安を与えない為に、私は黙って尾行を許した。

「この女性を脅迫している男が探偵に依頼して、この女性を尾行している」と思った。

レストランにて食事を終え、私は「これから用事があるから」と女性に伝え、店先にて別れた。

尾行者が女性を尾行する後を、こちらから逆尾行する予定であったが、様子がおかしい。

尾行者は、私を尾行して来ているではないか!

何の目的で私を尾行しているのか、捕まえて白状させてやろうと思った時、尾行車輛はフッと姿を消してしまった。

・・・それから数日後、自宅に訪問客が現われた。

その男性は、かなり興奮しており、私が彼女を取った、と怒っている。

落着いて、順序立てて話しをするように言い聞かせたところ、最近、彼女の様子がおかしいので、探偵に尾行させたところ、浮気相手が私であると報告がきた。

その彼女というのは、私が相談を受けた女性で、この訪問客は、その女性が現在交際している男性であった。